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総統閣下の憂鬱

世捨て人の戯れ言

金正男はどうやったら暗殺されず無事に生き延びられたか?

国際・外交 政治

連日ニュースを賑わしている金正男暗殺事件

この事件は本人も含めて誰もが暗殺の危険性を予想していて、かつ防げなかったという事件である。

 

殺された金正男自身は金正日の長男であり今の北朝鮮のトップである金正恩は異母弟であるから弟が兄を殺害したという話になる。

金正男は殺されないように自分は政治に関心がなく政治的な発言をさけて北朝鮮から海外に逃亡生活を送るという細心の注意を払っていた。そのうえで弟の金正恩に暗殺されてしまった。弟からしたら目の上のたんこぶだし危険分子だったのだろう。

彼がなぜ殺されたかというと、政治的なライバルで危険であったわけではない。それでも殺されたのは彼が金正日の正統な血を引く息子であり長男であったからであろう。

恐らく彼自身が政治に関心がない。または地位に関心がないということはトップである正恩にもわかっていたことである。全く関心がないと言えばちょっと違うと思う。これは私の推測になるが正確に言えば「命の危険性を犯してまで権力争いをするほど政治に関わりたくない」といえるだろう。

ただ、問題は本人にその気がなくても反体制派の旗印に担がれる可能性があることだ。例えば、正恩体制の非主流派はなんとか政権を倒そう考える。特にこのままではまずいという穏健派や改革開放を目指すグループがそうであろう。

彼らはシナリオとして「正恩を暗殺する。でも、そうするとその後の混乱をまとめるカリスマがいない。だから正日の長男である正男をトップとして迎え入れて反体制派でクーデターを成功させる。」というシナリオは十分考えられる。

本人がクーデターをやる気がなくても、正恩が暗殺されて自分の命が脅かされる危険性がなくなった後にトップの就任を要請されれば、その場で100%断るとはいえないと思う。

この様に正男本人にその意志がなくても神輿として担がれる可能性があるだけで正恩からしたら排除の対象になるのである。まるきり中世の中国の王朝の皇帝争いの様な話であるが北朝鮮は正に金王朝であるから間違っていないのである。

中国では宋や明といった王朝では初代皇帝の後に皇帝の息子と弟の間でゴタゴタがあり(日本で言えば壬申の乱みたいな争いですね)結局皇帝の弟が息子に勝利するといった感じに落ち着いている。

さて、こういった皇帝の権力争いで死にたくない場合、皇帝の息子である皇太子や親王たちはどうしたかというと、出家して寺に入るのである。こうすれば、アンタッチャブルな存在として世俗と関わらない代わりに命を保証されるのである。彼らはその血と地位が存在するだけで罪であり殺害と粛清の対象となるのである。

これを現代風に言えば、正男は政治的に終わった状態にしていれば暗殺される可能性がなかったであろう。もう北朝鮮に帰っても絶対にトップに就任できないような状況に自分の政治生命を絶ってしまえば、価値が無くなるのでリスクを賭けてまでわざわざ暗殺されることはなくなるだろう。

例えばアメリカに思い切って亡命するのである。仮に北に帰ってもアメリカのスパイだと思われたり、国民からトップとして信を得られないような状況になれば、暗殺から逃れられるであろう。